緊張を和らげる方法「あがり症のツボ」が効かない理由

緊張やあがり症を抑えるツボ

ヴィゴラ~ス! 脳科学をベースにした
緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。

あがり症克服トレーニングに来られた方に
「これまでどんなことに取り組まれてきましたか?」と
いつもお伺いしています。

その質問の答えとして、
最近立て続けにあったものが「ツボ押し」です。

雑誌やネットで「緊張・あがり症にはツボ押しが効く!」と
特集でもされているのでしょうか?

先に結論をお伝えすると、
「人前でガクガクブルブル震えて困っているあがり症の人が、
ツボ押しすると、あら不思議!震えがとまってもう安心」と
いった夢のような話は残念ながらありません。

私のトレーニングが短期間で克服できるのは、こういった
ツボ押しや腹式呼吸など、「それらしいけど効果のないこと」を
ばっさり省いているからでもあります。

緊張を和らげると言われるツボの場所

緊張を和らげるツボとして有名なのが合谷、液門などです。
ほかには新門、内関、労宮などがあります。

ツボの場所と効能等

名称 場所 効能等
合谷(ごうこく) 手の甲側の親指と人差し指の間で、くぼみの部分 ストレスを緩和する効果があるとされ、万能ツボと言われています
液門(えきもん) 握りこぶしを作ったときにできる関節の谷間で、薬指と小指の間の部分 緊張を緩和させ、気持ちを落ち着かせる効果があるとされています

参考:ストレス緩和に効果がある手のツボ

あがり症にツボが効くとされる理由

この話は聞いたことがあると思いますが、
人は緊張している時には自律神経のうち交感神経が
優位になっていて、リラックスしている時には
自律神経のうち副交感神経が優位になっています。

先ほど紹介した合谷や液門などのツボは、
これらのバランスを整えて副交感神経を優位にする
効果があり、このため緊張やあがり症を抑えたい時は
ツボを押せば良いと言われています。

しかし、つぼ押しを試してみたという
あがり症のお客様に、その効果を聞いてみると、
押してみたのですがダメでした
効果が感じられませんでした」といった声ばかりです。

ツボで緊張をほぐすことができない訳

たしかに、自宅などの落ち着ける場所で交感神経と副交感神経の
バランスが大きく崩れていない時にツボを押したら、
副交感神経が優位になってリラックスできるでしょう。

マッサージショップのように、柔らかい布団とヒーリング音楽、
お香が充満したお部屋であれば完璧ですね。

しかし、自宅と本番は大きく環境が異なりますし、
あがり症の人は、本番で交感神経がMAX優位になっています

この状態でいくらツボを押したとしても
副交感神経が優位になることはありません

人間の身体は、ロボットみたいにスイッチ1つで
ONとOFFが切り替わる構造にはなっていない
わけです

一週間後にテストを控えているけど、
なんだかソワソワと緊張して勉強に集中できない。
このような時にこそ、こういったツボ押しが適しています

そもそもツボのプロフェッショナルの鍼灸師の先生方も
このような場面を想定しておっしゃっています。
なぜ拡大解釈されてしまっているのか不思議で仕方ありません。

ツボが効かないならどうすればいい?

それでは、どうすれば緊張やあがり症に悩まずに済むのでしょうか。

人の体は、人前に対するイメージがネガティブで
あればあるほど、実際に人前に立つと
交感神経が刺激され緊張してしまいます。

逆に言うと、人前に対するイメージを事前に、
ネガティブなものからポジティブなものに変えておくことで、
交感神経が過度に刺激されるようなことはなくなります

緊張に効くと言われるツボ以外に、
ダイエットに効くツボなど沢山ありますよね。

雑誌やネットは話題性からそういったものは喜んで取りあげますし、
読者も気軽だからついつい期待してしまいます。

しかし、本当にあがり症を克服したいなら、
対症療法的なアプローチではなく原因療法、
つまりあがり症の原因である人前に対する
ネガティブなイメージを良いものに変えることが
根本的な解決策です。

具体的な方法は、ぜひ拙著をご覧ください。

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まとめ
  • ツボ押しが緊張を和らげる方法と言われるのは、交感神経と副交感神経のバランスを整えて副交感神経を優位にする効果があるから
  • 自宅など安心できる場所であれば、ツボを押すことで副交感神経が優位になりリラックスすることはできる
  • しかし本番では、緊張して交感神経がMAX優位になっているので、ツボを押したところで副交感神経が優位になることはない。
  • 人前に対するイメージをネガティブなものからポジティブなものに変えることが根本的なあがり症対策

あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
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