あがり症克服に話し方教室やセミナーでのスピーチ練習は不要

ヴィゴラ~ス!
脳科学にもとづいた緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。

スピーチ練習には大きく、
「話し方教室やセミナーなどで行う人前でのスピーチ練習」と、
「自宅などで、一人で行うスピーチ練習」があります。

今回は「人前でのスピーチ練習」に関するお話しです。「一人で行うスピーチ練習」に関しては本番前に数回通しで行えば十分です。

先日、私の著書「人前で話すのがラクになる!5つの魔法」を読まれた方から、次のような嬉しい感想文を頂きました。

「私は 、手の震えや足のガクガクを克服したくて高額の話し方教室で猛特訓していましたが、やればやるほどうまくいかず困り果てていました。
そんな折に本書に出会い、長年のガクブルからストンと解放されました。(T.Sさんより)」

あがり症を克服するためには、人前でのスピーチ練習に励む必要がある。そう信じて、多くの人が話し方教室やセミナーなどに通います。

でも、実はスピーチ練習は不要なんです。

不要というのは、スピーチ練習しなくても克服できるので、わざわざ時間とお金をかけてまでやることではないという意味です。

むしろ「スピーチ練習→本番で失敗」を繰り返すと、先の感想文のように、あがり症をこじらせるリスクもあるのです。

スピーチ練習

あがり症克服のために話すスキルを学ぶ必要はない

スピーチ練習のために話し方教室やセミナーに通う目的は、主に次の2つでしょう。「話すスキルを学ぶため」と「人前で話す機会を得るため、つまり場慣れのため」です。

まずは「話すスキルを学ぶ」について考えてみましょう。

「人前でうまく話せないので、話すスキルの習得が必要だ」と考えてしまう気持ち、わからないわけではありません。でも、あがり症は話すスキルではなく人前で話すのが怖いというメンタルの問題なのです。

例えば、音痴だけどカラオケが大好きでマイクを離さない人がいるように、話すスキルはなくても人前で話すのが好きな人(あがり症ではない人)はたくさんいます。

あがり症の本当の原因は、過去のネガティブな経験によって、脳に「人前=危険、怖い」と記憶されてしまったことにあります。つまり、あがり症を克服するには、人前に対する恐怖心を本番前までに改善しておく必要があるのです。

残念ながら、スピーチ教室で講師から発声練習、声の出し方、間の置き方、話の構成などを習っても、この人前に対する恐怖心はほとんど改善されません。あがり症の原因が解消されていない以上、結局人前に出るとドキドキとあがって、習得したはずの話すスキルを披露することもままならないのです。

スピーチ練習で得られるのは話し方教室やセミナー内での場慣れだけ

では次に「場慣れのために通う」について考えてみましょう。場慣れのために話し方教室やセミナーなどに通おうとする気持ちも、よくわかります。

しかし、そこでの人前でのスピーチ練習で得られるものはあくまで”話し方教室やセミナー内での場慣れ”です。このため、教室内では問題なく話せるようになったのに、本番では全然ダメだったということが起こります。

緊張しないで話せるようになるのは、しばらくすると脳がここにいる人はみんな仲間で、先生も優しく安心安全な場所と認識するからです。いわゆる、”ホーム”化ですね。

スピーチ練習に通って克服できる人とできない人がいる理由

ここまで、1)話すスキルを学んでも人前に対するイメージは改善されない、2)得られるのは話し方教室やセミナーでの場慣れだけと説明してきました。

でも、一部の方は、スピーチ練習に通って克服できています。なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?

それは、あがり症のレベルに個人差があるからです。私の経験をお話しさせてください。

以前、ある集会で突然一人ずつ自己紹介することになりました。すると、隣の方が「私あがり症なんです。どうしよう・・・」と言い始めたんです。でもその方の番になったら、多少ぎこちないところはありましたが、普通に話していたんですね。

はたから見たら本当にあがり症なの?と思うようなレベルでも、本人は本気でご自身をあがり症だと思い込んでいるんです。こういった本番で最後まで話すことができる症状が軽い人は、次第に人前に対する恐怖心がなくなり、自然と克服できることがあります。

このような人は「あがり症を克服するには場慣れだよ、場慣れ」と熱く語ってくれますが、これは生存者バイアスです。

生存者バイアスとは:何らかの選択過程を通過した人・物・事にのみを基準として判断を行い、通過に失敗した人・物・事は見えなくなるため、それを見逃してしまうという誤謬である。
ウィキペディアより

散々な結果で本番を終えるしかない極度のあがり症の場合は、成功体験を積むことはできないので、こういった流れにはなりません。むしろ失敗を重ねることで、さらに症状が悪化してしまうことも少なくないのです。

スピーチ練習すればメンタルが強化されるという幻想

ここで、スポーツ心理学習のEQ創設者の森裕亮さんとフットサル日本代表・森岡薫さんとの対談からの、興味深い指摘をご紹介したいと思います。

  • 競技活動を続けていれば、メンタルが自然と強くなると誤解しているが多い
  • 今まで培ってきた経験に頼る指導者が多く、最終的には「根性」や「やる気」など、抽象的な指導に偏っている印象が強い

この対談記事を目にした時、私は「”あがり症克服界隈”と全く同じだな」と感じました。

教室やセミナーなどに通って人前でスピーチ練習すれば、次第にメンタルが強化されてあがり症が克服できると思っている講師が、この界隈にはごまんといます。そして、不幸なことに受講者側もそうだと信じています。しかし、メンタルの話については、別途対応する必要があります。

では、どうすれば症状のレベル関係なくあがり症を克服できるのでしょうか。

それは、メンタルトレーニングによって、本番前にあがり症の原因である“人前に対する怖い、危険といったイメージ”を集中的に変えることです。原因が解消されればあがり症の症状は出なくなるため、人前でいつも通りに話せるようになります。

実際に、10日後に迫る発表会を成功させた方、何年も悩んでいた症状から解放された方など、多くの方があがり症を克服されています。

あがり症克服体験談

まとめ
  • 話し方教室やセミナーなどでのスピーチ練習では話すスキルを習得できても人前に対する恐怖心は改善されにくい
  • 話し方教室やセミナーなどでの場慣れと、本番での場慣れは別物
  • メンタルトレーニングによってあがり症の原因が解消されたら緊張せず人前でいつも通りに話せるようになる

もちろんメンタルトレーニングと一言でいっても、その方法は様々で、トレーナーの力量に大きく依存するものです。

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あがり症克服メンタルトレーニング

あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
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