あがり症の人は緊張を抑えるな! 森永製菓のCMが正しい
ヴィゴラ~ス!
脳科学にもとづいた緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。
今回は、あがり症の人は緊張を抑えるな!というテーマでお話しします。
これは「緊張している自分を受け入れよう」といった、よく聞く話とは異なります。受け入れたところで、あがり症は克服できません。
私がお伝えしたいことは、緊張を抑えようとすると、あがり症をなかなか克服できないよ!という話です。
「緊張をエネルギーに」という森永製菓のCM
数年前、森永製菓の「inゼリー」が印象的なCMを放送していました。「緊張をエネルギーに」というキャッチコピーです。
敵に思える”緊張“キャラクターが実は本気の人にこそやってくる存在であり、味方として主人公を見守る様子を通じて、緊張もエネルギーに変えてほしいという「inゼリー」のメッセージを表現しています。
–森永製菓株式会社News Releaseより
まさにこのCMの通りなのです。
緊張を敵とみなして抑えようとするのではなく、味方として捉えるとうまくいきます。
私は2010年に「人前で話すのがラクになる!5つの魔法」を出版して以来、一貫してこのメッセージを伝えています。無理に緊張を抑えようとするから、かえっておかしくなるのです。
なぜ「緊張を抑える」という考え方は間違いなのか
あがり症克服をうたっている話し方教室やセミナー、講座などが、「緊張を抑える〇個の方法」というような記事を多く発信しています。
これらを読むと、緊張を抑えることを目指すのが当然のように思ってしまうかもしれません。しかし、この考え方は完全なミスリードです。
「落ち着かせよう」「抑えよう」「リラックスしよう」とすることが、より緊張を招いているとさえ言えます。
なぜミスリードなのか。理由は大きく2つあります。
1)緊張を抑えるのは本能に逆らうのと同じ
まず1つ目の理由は、元も子もないことを言いますが、記事で勧められている方法はそもそも効果がないからです。
緊張を抑える方法として記事で紹介されているものは、深呼吸、腹式呼吸、ストレッチ、ツボ押しといった副交感神経を優位にしてリラックスしましょうというもの。
そのような方法で、緊張を抑えられるなら誰も苦労しないです。
人が緊張する原因は、過去のネガティブな経験によって「人前は危険なところだ」と脳に記憶されてしまっていることにあります。
その状態で人前に出ると、「いま危険な場所にいる!」と交感神経が刺激されて、鼓動が速くなったり、血圧や脈拍が上昇したりします。
これは狩猟時代からの人間の生存本能であり、闘争・逃走反応と呼ばれています。つまり、緊張とは脳が生命を守るために発するシグナルなのです。
そんな時に、腹式呼吸などで副交感神経を優位にしようとしても「いやいや、そんな場合じゃないから!」とバシッと却下されてしまいます。
まさに焼け石に水なのです。
2)緊張は抑えようとするほど強くなる
2つ目の理由は、緊張は抑えようと意識するほど、逆に緊張してしまうからです。
緊張は鍋の中の水と捉えると分かりやすいでしょう。
人前で話す時、スポーツする時など、何らかのパフォーマンスをする時は、鍋の水は自然とあたたまります。
緊張を抑えようとする人は、この温度上昇までも「あ~、やばい、やばい!緊張してきた」とネガティブに捉え、鍋に蓋をして抑えようとしてしまいます。
しかし、蓋をすれば余計に温度は上がりますよね。
この時にすべきことは、スポーツ選手が試合前に掛け声を出したり、ウォームアップでダッシュしているように、蓋をせずにエネルギーとして発散させることです。
まさに冒頭の森永製菓のCMの通り、緊張をエネルギーに変えるのです。
極度のあがり症の場合は、沸騰してお湯が外に飛び跳ねてしまうような状態ですから、この考え方に加えて別途の対策が必要です。
しかし、そこまでひどくないあがり症の場合は、緊張を抑えるという考えをやめて、大きな声で話す、元気よく話すといったように、緊張をエネルギーに変える意識を持つことで緊張が軽減しやすくなります。
- 緊張を抑えようと深呼吸、腹式呼吸、ツボ押しなどを駆使したところで、人間の本能に逆らうことは難しい
- 緊張を抑えること、落ち着くことを目指していると、本番でわずかでもドキドキを感じると「やばい緊張している;」とネガティブに捉え、余計にあがってしまう
- 緊張を抑えるという考えをやめて、大きな声で話す、元気よく話すといったように、緊張をエネルギーに変える意識を持つことで緊張が軽減しやすくなる
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