あがり症の原因とメカニズム:原因から読み解く克服のカギ
ヴィゴラ~ス! 脳科学にもとづいた緊張・あがり症克服の専門家の金光サリィです。
「なぜ私だけがこんなにあがってしまうんだろう…」
私もかつては、人前でのたった1分のアナウンスもできないほどの極度のあがり症でした。けれど、脳科学との出会いで、その克服方法を見つけることができました。
今回は、あがり症の原因とそのメカニズムについてお話しします。
これらを知ることは、間違ったあがり症の克服方法に時間を費やさないために重要な基礎知識となります。
理解することで、なぜ多くの一般的な対処法では効果が出にくいのか、そして本当に必要な対策は何なのかが見えてきます。
あがり症の症状と特徴
あがり症は、人前でスピーチやプレゼンをする時、発表・挨拶をする時、面接やスポーツ、楽器演奏する時など、様々な場面で起こります。
みんなの前で電話をかける時にあがる方もいます。
典型的な症状には次のようなものがあります。症状の種類やその度合いは人によって様々です。
- 胸や心臓がドキドキする
- 声が震える、声が出ない、吃音どもる
- 体、手足や首元が震える
- 顔が赤面する、赤くなる、ひきつる
- 涙が出る、泣く、嗚咽、手汗や脇汗などが出る
- 頭痛、頭が真っ白になる
- 息ができない、続かない、呼吸困難になる
- 動悸、えずく、苦しく吐き気がする
- 胃痛、腹痛、下痢になる
- めまい、視界がゆがむ
たまに、私は「あがり症」なのか「緊張(症)」なのかと、呼称にこだわる方がいます。
しかし、あがり症、社交不安障害(社会不安障害)、スピーチ恐怖症、対人恐怖症、パニック障害、発達障害、うつ病など、呼び名に関係なく、その症状によって人前でのパフォーマンスが妨げられるかどうかが重要です。
もし人前でのスピーチ・プレゼンなどで、手足や声が震えるなどの症状によって思うようなパフォーマンスが発揮できないなら問題として対処する必要があります。
あがり症になった本当の原因
あがり症がひどかったり、なかなか治らないと、生まれつきあがり症であったのかを疑う方もいるのですが、そうではありません。
あがり症になったのには、必ず”きっかけ”があります。例えば、
- 学校での音読で間違えて笑われた
- 発表会で失敗して恥ずかしい思いをした
- 会議で質問にうまく答えられなかった
- プレゼンで上手く説明できず、批判された
- あがり症とは、人前で話すときなどに、手足や声が震えるなどの状態をさす
- ネガティブな経験により、脳が「人前=危険」と認識してしまったことがあがり症の原因
- 脳がその認識をしたまま人前に立つと交感神経が刺激され緊張するのが、あがり症のメカニズム
- あがり症を克服するには、「人前は危険ではない」と脳の記憶を更新する必要がある
- あがり症を克服するには、スピーチ練習ではなく、記憶を更新するためのメンタルトレーニングが必要
あがり症は、このようなネガティブな経験を通して、脳に「人前=危険」と刻まれてしまったのが原因です。
自分の経験だけでなく、他の人がみんなの前で厳しく叱責されるのを見たことがきっかけになることもあります。
「あなたがあがり症なのは、プライドが高いから、自意識過剰だから、完璧主義者だからだ」と言われることもあるでしょう。
確かにこれらの性格的な要因は、悪影響を及ぼす可能性がありますが、根本的な原因ではありません。
あがり症の本質的な原因は、人前が危険だと脳が認識してしまっていることです。
あがり症のメカニズム
人前に立つと、なぜあなたは緊張するのでしょうか?
それは、脳が「人前=危険」と記憶している状態で、人前に出ると交感神経が刺激され、緊張してしまうからです。
具体的には以下のような流れです。
1. 人前=危険という認識
2. 実際に人前に立つ
3. 交感神経が優位になる
4. 緊張する
交感神経が刺激され優位になると、鼓動が速まったり、汗が出たり、呼吸が激しくなったりします。
「交感神経と副交感神経が優位な時の状態」は次の表のとおりです。
交感神経と副交感神経による作用の特徴と比較
(東邦大学薬学部薬物学教室HPより抜粋)
交感神経 | 副交感神経 | |
---|---|---|
体と精神 | 緊張 | リラックス |
呼吸 | 激しくなる | 落ち着く |
血圧 | 上昇 | 下降 |
心拍数 | 上昇 | 下降 |
発汗 | 促進 | 抑制 |
緊張している時とリラックスしている時の違いは、交感神経が優位になっているか副交感神経が優位になっているかの違いともいえます。
この緊張反応は「闘争・逃走反応」と呼ばれることがあります。
これは、私たちの祖先が危険な動物に遭遇した時、すぐに逃げたり戦ったりできるように、呼吸を速めたり血圧を上げたりしてエネルギーを急速に高めることで、生き延びるのに役立っていた反応です。
この反応は物理的な脅威から私たちを守るために進化しましたが、脳は物理的な恐怖と精神的な恐怖を区別することができません。
そのため、人前で話すことを危険だと感じると、同じように反応してしまいます。
ありがた迷惑かもしれませんが、脳はあなたを守るために良かれと思ってやっているのです。
克服のための本当のゴール設定
ここまでで、あがり症の原因とメカニズムについてご理解いただけたと思います。
では、どうすればあがり症を克服できるのでしょうか?
残念ながら、多くの人があがり症の原因とメカニズムを理解しても、話し方教室やセミナーなどに通ってスピーチ練習に励んでしまいます。
でも、違いますよね?
あなたは緊張していなければ、普通に話せているはずです。
あなたがするべきことはスピーチ練習ではなく、「あがり症」の原因を取り除くことなのです。
あがり症の原因は「人前=危険」という記憶でしたから、「人前は危険ではない」と脳の記憶を更新させること、これが正しいゴール設定です。
このためにはメンタルトレーニングが必要です。
「人前は危険なところではない」と記憶を更新すれば、あがり症の症状は出なくなるため、人前でいつも通りに話せるようになります。
具体的な克服方法はこちらをお読みください。
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一緒に、あがり症のない人生を目指していきましょう!
次のトピックは、「あがり症が治らない人のよくある3つの誤解を徹底解説」です。