緊張による手足や声の震えの原因と脳科学が示す正しい止め方

ヴィゴラ~ス!
脳科学にもとづいた緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。

あがり症で悩む方々からのご相談が私のもとに頻繁に寄せられています。その中で特に多いのが、手足や声が震えるという症状についてです。

私もかつては、人前でのたった1分のアナウンスも、手足や声の震えで台無しにしていました。

今回は、このつらい「震え」がなぜ起こるのか? そして、なぜ一般的な対処法では震えは止まらないのか?その理由を、一緒に解き明かしていきましょう!

緊張で声が震える

緊張の正体と手足が震える原因

人は、過去に人前で何らかのネガティブな経験、例えば失敗や恥ずかしい思いをしたことがあると、人前に対する恐怖心が脳に刻まれる事があります。

自分の経験だけでなく、他人が人前でひどく叱責されるのを見るなどの経験でも脳に「人前=危険」と植えつけられることがあります。

この状態のままプレゼンやスピーチしようと人前に立つと、脳が「いま危険な場所にいる」と察知して、身を守るために「戦えー!」または「逃げろー!」と指示を出します。

こういった緊張時に優位になる交感神経を「闘争と逃走の神経」、緊張反応を「闘争逃走反応」と呼んだりします。

戦ったり逃げたりするためにはエネルギーが必要なので、脳はエネルギーである血液を体中に送るように指示します。

血液をいつもより多く巡らせるためには、心臓のポンプを速くする必要があります。これが「心拍数があがる」「心臓がドキドキする状態」ですね。

稼働しているエンジンがブルンブルンと震えるのと同じように、身体も震えます。特に手足や首などの細い部分はそれを感じやすいというわけです。

この闘争逃走反応は、狩猟時代に野生動物と闘っていたときの名残と言われています。

物理的な脅威から私たちを守るために進化しましたが、実は脳は物理的な恐怖と精神的な恐怖の区別がつきません。

そのため、人前で話すことを危険だと感じると、同じように反応してしまいます。ありがた迷惑かもしれませんが、脳はあなたを守るために一生懸命がんばってくれているのです。

緊張で声が震える原因

では、声の震えについても詳しくお話ししますね。

これも闘争逃走反応が関係しています。人は戦いや逃走の際、無意識に息が止まります。

腕相撲で力む時や、ボールが飛んできて「危ない!」と逃げる時を思い出してください。息が止まっていませんか?

ところが、話をする時は息を吸ったり吐いたりと呼吸が必要です。

呼吸が必要な状況にこの「息を止める本能」が作用して、喉がつまるように感じたり、息が苦しくなったり、声がうわずったり、声が震えたりしてしまうのです。

手足や声の震えの正しい止め方

「震え」を止めるために、深呼吸や腹式呼吸で副交感神経を優位にして落ち着かせようとする人が多くいらっしゃいます。でも残念ながら、それでは対処できません。

五臓六腑のうちで唯一自分の意識でコントロールできるのは肺であり、呼吸をゆっくりしたり早くしたりすることで、副交感神経を優位にしてリラックスできるのは確かです。

しかし、あくまでそれは「安全な場所」での話。「人前を危険な場所だ」と認識しているあがり症の人が、緊張して交感神経がMAXになっているときに、いくらそれをしても、残念ながら効果は限定的です。

また、発声練習などで声を鍛えることで対処しようとする人もいらっしゃいますが、これも良い方法とは言えません。

私のトレーニングには、現役のオペラ歌手の方も来られます。声を鍛えることで声の震えが止まるなら、声のプロである彼らが悩むはずないですよね。

どうにかこうにか対処しようとする発想ではなく、あがり症の原因に目を向けてアプローチすることが大切です。

あがり症の原因とは、人前に対してネガティブなイメージ、「人前は危険だ」という記憶がついてしまっていることです。

それにより闘争逃走反応が生じて、体や声の震えなどの「症状」が出ているわけなので、この「原因」を解消すれば震えることを止めることができます。

そのために有効な方法は、人前に対するネガティブなイメージを事前に取り除いて、脳が「人前」を「危険」ではなく「楽しいところ」と認識できるようにするメンタルトレーニングです。

まとめ
  • 人前で何らかの苦い経験があると、「人前は危険だ」の脳に刻まれることがある
  • その認識のまま人前に出ると、闘争逃走反応が生じて、エネルギー=血液を全身に生き渡らせるようにするため、ブルブルと体が震える
  • 人間は、闘争逃走反応が生じて、力を入れる時や逃げる時は息が止まるが、話す時は呼吸が必要である。結果、話す時に喉がつまったり、声がうわずったり、震えたりする
  • 深呼吸や発声練習だけでは根本解決できない。震えを止めるには、メンタルトレーニングによって人前に対するネガティブイメージを解消する必要がある

メンタルトレーニングで、「人前は危険ではない」という新しい認識を脳に植え付けることができると、

  • 手足の震えが止まる
  • 声が自然に出るようになる
  • 人前でも堂々と話せるようになる

といった変化を実感できるようになります。

実際に、これまで私のサポートを受けた方の9割以上が克服に成功し、人前への恐怖から解放されて、本番で自分らしく話せるようになっています。

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あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
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