音楽であがり症に悩む人が陥りがちな考え方とその対処法

ヴィゴラース! 脳科学をベースにした緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。

私は某音楽大学出身で、そこでオーボエを弾いていました。本日は、音楽の演奏や発表の場であがり症に悩む方に向けて、ありがちな思考パターンとその対処法についてお話しします。ミュージシャンではない方にも役立つ内容です。

ピアノ

脳の投影があがり症を助長する

まず、1曲歌いたいと思います。

森山直太朗さんの「さくら」という曲のサビでした~。いい曲ですよね。私が歌っているのを聴いて、あなたはどんな風に感じましたか?

私が歌っているのを見て、「緊張しているな」、または「緊張していないな」と、「緊張」に目を向けてしまった人はいますか?もしくは「上手だな」、とか「下手だな」などの評価をした人。またはその両方。

あがり症で困っている人は、人のパフォーマンスを見るときに、この「緊張」や「評価」に目がいきやすいです。それが癖づいてしまうと、自分が演奏する側に立った時、「みんなが自分を、緊張しているかどうか見ている」「上手いか下手かを見ている」と想像して、自分で自分に余計にプレッシャーをかけてしまうことにつながってしまいます。

これは脳の「投影」という機能によるものです。「いつも自分が他人を見ているように、他人も自分をみているに違いない…」、そんな風に自分の心を他人に投影させてしまうのです。

じゃあ、どうすればいいのかなんですけれども、日頃から、誰かの演奏を聞く時に、「緊張に注目すること」とか「評価をすること」をやめるということなんです。やめるためには、どんな演奏でも「いいね!」「音楽ってすばらしい」「感動!!」と大げさにノリノリで、喜びながら肯定的に聞くようにすることです。

そうすることによって「人は、誰かの演奏、パフォーマンスを見る時に、いいねいいね~というふうに観るものなんだ!」という脳になるので、今度自分が人前に立った時にみんなが「いいねいいね」というふうに聴いてくれている感じがします。「投影」をうまく利用した方法になります。

練習に音楽を楽しむ軸を組み込む

日頃の練習では、うまくできないところに注目し、そこを改善するために細かく練習していると思いますが、それだけを行っていると「上手くできたかどうか」だけに意識が行ってしまいます。音楽に「楽しめたかどうか」の軸を持つことがとても大事です!

ですから、その日の締め(最後)の練習で演奏し終わった後には、「楽しかった~!!」「気持ちよかった~~!!」などの良い気持ちと表情を癖づけていきましょう。「あそこができなかったなぁ」 「難しいなぁ」というイメージを持って練習を終えると、音楽が楽しくなくなり、苦行になっていきます。

流行っているオーディション番組や、優劣を競うような番組の視聴も、音楽を楽しめなくなる原因になりかねないので、お薦めしません。

カトー・ハヴァシュ:上手い下手を捨てる

「上手い下手という優劣の概念を捨てる」ということは、有名なヴァイオリストであがり症に関する書籍を出されているカトー・ハヴァシュさんもおっしゃっています。

もっとも重要なのは「上手」「下手」という判断基準を完全に捨ててしまうことです。練習の最大の目的は、(ヴァイオリンを弾く、ではなく)ヴァイオリンを通して音楽を演奏する、苦痛を感じることなく、音楽を楽しく再現する方法を学ぶことです
-「あがり」を克服する~ヴァイオリンを楽に弾きこなすために:カトー・ハヴァシュ(音楽之友社)

私の著書『人前で話すのがラクになる!5つの魔法』にちょっと書いたので、覚えてくださっている人もいるかもしれませんが、私はもともとオーボエという楽器をやっていました。その頃は、人の演奏を聞くときにもどうしてもマイナスなところに注目をするクセがついていて、「あ、ミスった」とか「あ、ピッチずれた」みたいに敏感になっていました。

なので自分が人前に立ったときにも、「みんなが自分のミスに注目しているー!」「ミスを待っている!」みたいな感覚になって、演奏するのがただただ怖くなってしまいました。

それから時間が経ち、人前で話すときの緊張を克服した後に、また音楽をやりたいなぁと思って、人前で歌ったりギターを始めたりしました。その時に練習よりも大事にしていることが、人の演奏を聞く時に「いいね、いいねー!」「音楽楽しいよね!!」とノリノリで聞くことを意識することです。

そうすることで自分が演奏するときに本当にラクに楽しく、みんなが私の演奏を嬉しく聞いてくれている気がするので、人前で楽しく演奏できるようになりました。

せっかくの音楽が苦痛になってしまわないように、一生楽しく音楽ができるように、今回お話しした脳の「投影」機能を上手に使って楽しく気持ちよく音楽を続けていきましょう!

ヴィゴラスマインドでは、著名なミュージシャンや、名門大学ピアノ科の学生など、幅広い音楽家の方があがり症克服レッスンを受講されています。無料相談も行っておりますので、ぜひリンクから詳細をご覧ください。

ピアノ・演奏家のための脳科学的 緊張震えあがり症克服レッスン

あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
「人前で話すのがラクになる!5つの魔法(ダイヤモンド社)」は、今までにないあがり症克服本としてAmazonランキング総合2位(話し方・プレゼン部門1位)。現在12刷りのロングセラー。

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