あがり症を克服できないもったいない感想文
あがり症克服の専門家 金光サリィです。
週に何通も拙著「人前で話すのがラクになる!5つの魔法(ダイヤモンド社)」への感想文のメールを頂きます。読む度に、勇気を出してこの本を書きおろして良かったなと思います。本当にありがとうございます。
ただ、たまに非常にもったいないと思ってしまう感想文が送られてきます。この原因は、普段の言葉づかいが起因しています。言葉づかいは、大人になると滅多に注意されることもなくなるので、あえて記事として取り上げたいと思います。
あがり症を克服できない感想文の例
要約すると次のような感想文です。
「とても分かりやすくて、すごく納得できました!うまくいくか不安ですが、がんばってみます」
本書の「言葉の魔法」の章で、望まない結果を連想させるような言葉は、たとえそれを打ち消す意味合いの言葉を添えても、望まない結果に導く力を持っているから使わないようにと説明しています。
しかし、この方は本の内容を納得できたと言われているのにもかかわらず、感想文において望まない結果を連想させる「不安」という言葉を早速使っています。
あがり症を克服したいという強い意思は伝わってくるので、余計にもったいないです。
「緊張しないように」は逆効果
ダイエットするために「食べないように。食べないように」と思っても、逆に食べることを連想してしまい逆に食欲がわいてしまう。こんな経験をしたことはありませんか?
このような意図に反する思考の促進や気分の変化は、専門用語で逆説的効果と呼ばれています。公衆トイレによくある貼り紙が「トイレを汚さないでください」から「トイレを綺麗に使ってください」と言い方が変わったのはこのためです。
同じ理屈から、本番前などに「緊張しないように、緊張しないように・・・」と自分に言い聞かせた場合、「しないように」と打ち消しの言葉を添えても、逆に緊張を誘発する可能性が高まります。
先の感想文で言うと、本人は、「がんばる」という言葉で、「不安」の部分を帳消しにしているつもりだと思いますが、脳は不安という言葉を使った時点で、瞬間的に不安な状況を思い出してしまい、それに足を引っ張られてしまうのです。
普段の言葉使いが反映される
上記のような感想文を書いたからといって、実際の本番の結果がどうなるかは別の話では?と思う方もいるかもしれません。しかし、感想文にはその人の普段の言葉の使い方が如実に表れるものです。
人は、長い時間をかけて身につけた言葉をほとんど無意識に使っています。ですから本を読んだ直後に書いたと思われる感想文で、言葉の使い方の修正ができていなければ、今後第三者からの指摘を受けない限り、この間違いに自ら気づくことはありません。
このため実際の本番でも、感想文と同じように、たとえ口に出さずとも頭の中で、不安だな~、心配だな~といった類の言葉をぐるぐると使ってしまうことでしょう。
普段の言葉使いを変える訓練
ここでもし、このブログを読んで、自分の普段の言葉の使い方の間違いに気づいた人は、まず次のような訓練に取り組んでみてください。
- できるかぎり否定形ではなく肯定形で言葉にする
- 例)これから遅刻しないようにしよう→これから時間に余裕を持って行こう
例)お皿を割らないようにね→お皿を大事に扱ってね - ネガティブな言葉を使わずに意味が伝わるなら、それを省く
- 例)英語が苦手だけど、毎日勉強しようと思う→英語を毎日勉強しようと思う
例)センスがいまいちだけど、いつか結果がでるはずだよ→必ず結果がでるはずだよ
訂正前と後を比較してどう感じますか?同じ意味でも随分イメージが変わりましたよね。私のあがり症克服トレーニングのクライアントさんで、この訓練に取り組んだら、しばらく言葉を発することができなくなった方もいました。
それだけ自分や周りに対して、意図とは反対の影響を与えていたということです。あがり症改善だけでなく、人間関係も良好になること請け合いなので、ぜひ実践してみてください。