あがり症克服にプラス思考が大事とは書いてない
ヴィゴラ~ス!緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。
最近本を出版した友人が、アマゾンに書かれたネガティブレビューに対して「そんなこと書いてないから!もっときちんと読んで欲しい!」と怒っているのを、一緒にいた著者仲間と首がもげるぐらい頷いて聞きていました。
時として心血を注いだ本が、書いてないことや読み違いによって理不尽な評価を受けてしまうことがあるんですよね。
私の場合は、ダイヤモンド社の副編集長に加えて、何本も論文を書かれているイプラス脳力開発トレーニング協会会長の志賀博士に査読してもらいましたが、それでも「そんなこと言ってないのになぁ~」といったレビューがあります。
その一つが、「私のあがり症克服方法が単なるプラス思考と誤解しているようなレビュー」です。わずかな数でもネガティブレビューを気にする人がいるので、それを見て手に取るのを止めてしまった人がいるかもしれないと思うと残念です。
しかし、脳科学や心理学を勉強していると、読み違いもまた仕方ないなと思う側面があります。
今回の記事は、「あがり症はプラス思考で克服できるといった単純なことは言ってはいないよ」という話と、「なぜ人は読み違いをしてしまうのか」についてお伝えします。
あがり症をプラス思考で克服するとか書いてない
そのレビューとはこちらのことです。
冒頭は、ミステリーな部分に触れられても信用できないという趣旨だと思います。私もはじめはそうだったのでお気持ちはよく分かります。
確かに、脳の世界は全てが解明されたわけではありませんし、潜在意識をキーワードに使った根拠がよくわからない商材も多くあるので、猜疑心が生まれてもおかしくないでしょう。
でも、私は博士号を持った研究者から師事を受け、研究で明らかになった内容を使っていますし、潜在意識という言葉自体は教科書にも載っているもので決して怪しいものではありません。
ちなみに、ノーベル物理学賞を受賞したマックス・ブランク博士は、「最新の研究成果が知られているのに、活かされないことが多い。新しいアプローチが行えるようになるまで30年どころか60年かかるのではないか」と嘆いています。新しい知見はなかなか受け入れられるまでに時間がかかるようです。
次に、この部分。
「ネガティブ思考の人にポジティブ思考になれ!と言われているようなものですが…ようは、自分のプラスになるように考え方を変えていきましょう!ってだけの話し。
」
私の本には、ポジティブ思考とかプラス思考と言う言葉は一度も登場しません。私がお伝えしているのは、思考や考え方を変えようということではなく、「人前に対するイメージ」を改善しましょうというものです。
あがり症になった原因は、脳に「人前=危険、怖い」と認識されてしまったからです。この本では、そのイメージの改善方法を200ページの紙面をさいて説明しています。また、そのイメージ改善に対して必ず起きる「脳の反発」への対処方法なども書いています。
このレビューだけを読んだら、「とにかくあがり症を克服するためにプラス思考になりましょう」といった単なる根性論の本に思えるかもしれませんが、そうではありませんので誤解なきようお願いしますね!
脳の負担軽減の為に生じる認知の歪み
「そんなの知っているよ。こういうことでしょ?」
「いや、違うんだけど・・」と言われて恥をかいたことはありませんか?
人は脳の負担を軽くするために、自分の中にある情報にもとづいて、新しく受け取った情報を「省略」「歪曲」「単純化」する傾向があります。
先のレビュアーさんの場合は、脳が「単純化」を図ろうとし、結果的に「歪曲」が生じている状態です。過去にあがり症についてどなたかに相談した時に、とにかくプラス思考になれと言われたのかもしれませんね。
どんなに名著といわれる本にも、目を疑う読み違いレビューがあったりします。全ての読者さんに同じように理解してもらうのは現実的に不可能なことです。
でもそういったネガティブレビューのために本を手にすることを躊躇している人がいるなら、「私が読んだらそういう感想にはならないかも?」という可能性も残して欲しいと思います。