あがり症克服を元祖嫌われる勇気から学ぶ

黒猫本出版パーティー

ヴィゴラ~ス!緊張・あがり症克服の専門家 金光サリィです。

2冊目の著書の「人の目を気にせずラクに生きるために黒猫が教えてくれた9つのこと(通称:黒猫本)」が増刷になりました。ご愛顧いただきありがとうございます。

名著「嫌われる勇気」と内容が似ていることから、「元祖嫌われる勇気」と言われることもチラホラあります。もちろん黒猫本の方が早い出版ですよ(笑)今後も必要な方に届けば嬉しく思います。

黒猫本は、東京で人間関係に疲れ、単身沖縄に移り住んだ自分探しをしている女性(薫)が、沖縄でもうまくいかず嘆いていたところ、人間の脳内に直接話しかけることのできる黒猫(ライオン)に出会い、教えを乞うという物語です。

あがり症克服に役立つ内容も沢山あるので、幾つかを紹介したいと思います。

言葉を変える

カフェバー・ルカインドに来た薫に言ったライオンの言葉です。

「今日ここに来てから、3回も「疲れた」って言いましたね。声にしていなくても、頭の中で疲れたと言えば、脳は「私は疲れているんだ~。そうかそうか、疲れた感じをもっと表現しなくては」ってがんばるわけ。脳は言葉の指令に従うようにできているんだよ。」

あがり症を克服するうえで、一番大事なのは「言葉の使い方」です。あがり症克服に挑戦するときは、不平不満、愚痴、泣き言、悪口、文句、言い訳、心配事などマイナスの言葉は使わないことです。

ライオンが言っている通り、脳は自分の言葉通りに自分を導いていきます。マイナスな言葉を使っている限り、いつまでもマイナスな状況からは抜け出せません。それに代わるプラスの言葉を考え、使っていくようにしましょう。

退路を断つ

仕事を終えたライオンが道端に座り込む薫に出会った時の会話です。

「うまくいく人生にシフトするために、一番大切なことは何だかわかるかい?」
「う~ん。その方法を知るってことかなぁ」
「それも大事だけど、まずは、変化しようと〝決断″すること。この決断ができるかどうかが一番大事なんだ。」

あがり症を克服するのもこれと同じで、あがり症を克服しようと、決めて退路を断つ、ことがとても大事です。

「人前で話せるようになったら人前で話そう」といった方がたまにいらっしゃいますが、残念ながら、このスタンスではいつまでたってもあがり症は克服できません。

なぜなら、完全にあがり症を克服するには、本番での成功体験による記憶の上書きが必要だからです。つまり、あがり症を克服したかったら、人前で話す機会(本番)を避けて通れないのです。

私が極度のあがり症だったころ、一つの大きな決断をしました。10日後に100人の前で講演をするという決断です。決断した瞬間はまだ、大勢の聴衆を目の前に泡を吹いて倒れる自分しか想像できませんでした。

「このままでは絶対にまずいことになる!」という明確な現実が、自分を”新しい行動″に駆り立ててくれました。

~したいなに変える

2度目にバー・ルカインドに訪れた薫へのライオンの言葉です。

「人間関係に悩む多くの人が、みんなと仲良くしなければならない(みんなに好かれなくてはいけないと思っている)。だから、小さなトラブルにも大きく悩むことになるんだよ。そもそも、自分自身がみんなを好きってわけではないでしょ」

人前で話す時においても、みんなにとって良いもの、完璧なスピーチを提供しなければならないという考えが過度のプレッシャーになっていることが少なくありません。

一般的な話し方教室などで重要視される滑舌や声の出し方、話の組み立てなどに注意しすぎると、どんどん「しなければならない」ことが増えていきます。この「●●しなければならない」状態は、より緊張を高め悪循環を招きます。

良い話し手を目指すのは良いことですが、「●●しなければならない」ではなく「●●したいな」といった状態を目指すことで、話すのがラクになりますよ。

表情を笑顔にする

ライオンが薫に「9つの黒猫思考」を教え始めるときのライオンの言葉です。

「そう!その顔(笑顔)で聞いてね。さっきみたいに眉間にしわが寄った表情だと、脳が『この話は難しいんだな』とか『この話、嫌いなんだな』と感じて、頭に入れないようにしちゃうから」

人間の脳は、言葉の指令に従おうとします。例えば、「疲れた~」と口にすると、脳は疲れを感じさせようとします。同じく、顔の表情や態度もボディランゲージ(体の言葉)と言われるように、脳への指令となります。

楽しい出来事があると笑顔になる。悲しい出来事があると辛い表情になる。といったように、必ず出来事があると思われていますが、表情や態度が感情を引き起こすこともできます。

例えば、両手を上にあげてバンザイとVの字を作り、思いっきり笑顔を作る。そうすると楽しい気持ちになります。反対に、肩をすぼめて落とし目線を下にさげて、辛い表情をすると、悲しい気持ちになります。

最新の研究では、自分を大きく見せる自信満々のポーズをした後はやる気・パワーのホルモン(テストステロン)が上昇しストレスのホルモン(コルチゾール)が下がり、逆に小さく縮こまった自信のないポーズをした後はテストステロンが減少しコルチゾールが増加することが分かっています。

人前で話す時にも、大きく胸を開いた自信のある態度で人前に立つか、自信なさそうに身を縮めた態度で臨むかは、聴衆への影響以前に自分自身に影響を与えているということですね。

演じ続けていれば、いずれそれが本当の姿になる。脳はそれぐらい素直にできています。自分にとって有効に動いてくれるように脳の仕組みを理解してあがり症を克服しましょう。

あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
「人前で話すのがラクになる!5つの魔法(ダイヤモンド社)」は、今までにないあがり症克服本としてAmazonランキング総合2位(話し方・プレゼン部門1位)。現在12刷りのロングセラー。

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