「あがり症の薬」のまとめ記事を書かない訳

インターネット検索

ヴィゴラスマインドのスタッフの遠藤です。「Google検索から不正確な医療情報が消える」という記事をレポートされた方のツイートが25,000もリツイートされているようです。すごい数ですね。いかにこの問題に対して、悶々としていた人が大勢いたかという表れだと思います。

あがり症(特にサプリや薬)に関するサイトも該当する話なので、便上して何が起こったのか解説したいと思います。何でそんなにリツートされているの?と思った方は、この記事をぜひお読みください。なぜなら、あなたはインターネットの情報を鵜呑みにしている可能性が高いからです。

Googleが検索アルゴリズムを大きく更新した訳

「一部の専門家が、問題のある記事やメディアの指摘を重ねてきたが、検索結果上位に不正確な情報が並ぶ状況は続いていた」「日本のウェブ上には、あまりに問題あるサイトが増えてしまいました。WELQが閉鎖された後も、WELQのノウハウを活用した更にひどいサイトが生まれてしまっていた。このような手法は今後、(グーグルが)許されないということを示したのでしょう」
Google検索から不正確な医療情報が消えるより

上記で書かれているように、グーグル(ヤフー含む)でインターネット検索した時に不正確な医療情報を掲載しているサイトがたくさん上位表示されていました。このため、グーグルは、それらを上位表示しないようにアルゴリズム(≒評価基準)を大きく更新しました。

「ダイエット」や「育毛」など、健康に関連してはいるが、現時点では大きな変化が発生していないジャンルもある」「信頼に足ると感じていたいくつかのサイトも、今回のアップデートで大きく検索順位を落としているケースが散見されます」
Google検索から不正確な医療情報が消えるより

しかし、全てのジャンルで解決されたわけではないようです。ざっと確認しましたが、あがり症のジャンルも解決されているとは言えません(今後は不明)。また、無慈悲にも優良サイトも誤爆を受けて順位を大きくさげているケースがあるようです。

アフェリエイトとWELQ事件とは

「一般人がクチコミの形で健康食品やサプリメントなどを販売する「アフィリエイトサイト」には、今回のアップデートにより、存続が危ぶまれるところもある。しかし、このようなアフィリエイトサイトの中には、薬機法(医薬品医療機器等法 、旧薬事法)に触れるような悪質な記事があることが度々、問題視されてきたことも事実だ」
Google検索から不正確な医療情報が消えるより

ここで、アフィリエイトとWELQ事件について簡単に説明します。そんな無茶苦茶なことがインターネット上では起きていたのか?!ということが分かると思います。

アフィリエイトとは

アフィリエイトとは、アフィリエイトASPというところに登録されている商品を自分のサイト(HPやブログなど)で紹介し、閲覧者がその商品販売ページに移動した後にその商品を購入したら紹介料(広告料ともいいます)をもらうことです。沢山のサイトを作って、この紹介料だけで生計を立てている人たちはアフィリエイターと呼ばれています。

商品としては、本やDVDや、それこそサプリ、薬などありとあらゆるものがあります。アフィリエイターは登録されている商品群から自分のサイト上で何を紹介するかを任意で選ぶわけですが、その際に広告主がアフィリエイターと会って商品の説明をするといった機会はありません。

つまり広告主は商品がどのように紹介されるかは蓋を開けてみないと分からないわけです。驚くことに、あがり症に関わるDVDやサプリ、薬なども登録されています。当社のあがり症克服DVDを登録してみたらと言われたことがありますが、万が一誤解があるとお客様に迷惑をかけるのでやめています。

紹介料をもらう商習慣は昔からあり、私はアフィリエイトの仕組みやアフィリエイターのみなさん全員を批判するつもりは毛頭ありません。しかし、問題は、いかにも善意のまとめサイトとして運用しているように見せかけて、実は紹介料の高いDVDなどをランキング1位に見せたりと、公平性、信頼性に欠けたページをつくる人たちが多数現れたことです。

これはインターネットならではの問題です。なぜなら、もし顔が見える関係で、本当はもっと良い商品があるのに紹介料があるものだけを紹介していたら、必ずいつかは明るみになり、信用を失ってその人はその場所に居られなくなります。

しかし、インターネットの世界では、そのような浄化作用は起こりません。グーグルが順位を落とさない限りその場に居続けるわけです。(似顔絵や偽名ではなく、ちゃんと顔写真も本名でFBやグーグル+に紐付けして、売り逃げスタンスでない方は例外です)

アフィリエイターは上位表示するための施策(=SEO対策)に秀でており、他のサイトを押しのけて彼らのアフィリエイトサイトが上位表示されていることがとても多いです。このため、一部の間では非難を浴びていましたが、今のように大きな話題にはなっていませんでした。

WELQ事件とは

ことの発端は、ある上場会社のWELQという美容・健康・医療のまとめサイトで発生しました。自殺やガンといった人の生き死に関わる記事を上位表示させて、アフィリエイト商品に誘導していたのです。誘導先の商品がまたえげつなく、SEO対策で著名な辻さんという方が以下のように語ったことで、一気に大きなうねりが生まれました。

「非常にセンシティブなため全力で配慮するべき[死にたい]等の検索で上げるモラルの無いSEOを行っている」「本当に悩んでいる人が読むと追い込まれる内容をメディアが公開している」「それを使ったマネタイズというモラル無い行為」
「死にたい」検索トップの「welq」の記事、DeNAが広告削除 「不適切」指摘受けより

これをきっかけに内部告発もあり、WELQがどのように記事を作成していたかが暴露されました。彼らがしていたことは、簡単に言うと外注費の安い素人ライターに記事を量産させていました。

その道のプロでも専門家でもないライターが記事を書くとどうなるか?薬機法に触れる記事を書く、他人のコンテンツをコピーしまくるとなったわけです。しかも、グーグルにコピーサイトとばれないようにするためのコピー方法のマニュアルまで用意されていたのです。

結果、サイトは閉鎖され社長の謝罪会見まで開かれました。しかし、問題がこれで解決するどころか、このWELQのノウハウを使って、今まで以上に悪質なアフィリエイトサイトが上位表示を独占するようになったのです。ブラックジョークもいいところです。そして、この事態を受けてグーグルが大鉈をふるったのが今回の顛末です。

25,000ものリツートは、この事態にうんざりしていた多くの人の涙と怒りのメッセージなわけです。しかも、あがり症関連のサイトも含め、まだ部分的にしか解決していないし、まっとうなサイトまで順位が落ちているという悲惨な状態が続いています。

アップデートはなぜ日本だけなの?

「今回のアップデートが実施されたのは日本のみ。「WELQ問題」以降、日本で高まっていたネットの医療情報への不信感を受けた、独自の対応と考えられる」
Google検索から不正確な医療情報が消えるより

実は、このアップデートは日本だけで実施されたものです。もちろん、アフィリエイトは日本だけに存在するサービスではありません。ではなぜ、日本だけ問題のあるサイトが上位表示され、グーグルが独自にアップデートしたのでしょうか?

知人に、旅行系のアフィリエイター(まっとうな運営をされている方です)で、配偶者が韓国人の方がいます。その方いわく、韓国人はアフィリエイト商品をほとんど購入しないので、韓国語のサイト作りを止めたと言っていました。

これは、アフィリエイト商品を購入する閲覧者が少なければ、アフィリエイターがわざわざエネルギーをかけてサイトづくりをしないとも言い変えられます。私は、ここに今回の問題の原因の一つが隠れていると思います。

それでは、なぜ他国と比べ日本人は、アフィリエイト商品を購入する傾向が高いのでしょうか。それは、一つに、「上位表示されている=信頼に足るサイト」と認識している人が他国より多いからだと思います。

上位表示=信頼に足るサイトか?

正確には「上位表示されている=信頼に足るサイトかもしれないし、そうでもないかもしれない」です。このことは、上位表示するための施策(=SEO対策)について勉強すれば分かってきます。

私は、自社のサイトについてSEO対策を施すこと自体はなんら悪いことと思いません。誰も来ない砂漠に出店するより、人の多い都市に出店したいと思うのは当然のことです。これが悪となるなら、広告費を払ってCMを出すことも悪となります。

話を戻すと、代表的なSEO対策は、該当キーワードについて幅広く記事を書くことです。たとえば、あがり症で上位表示させたい場合は、あがり症と一緒に薬やサプリや病院といったキーワードで検索されていることが多いことから(これはあるツールで確認可)、それらの記事をまとめると上位表示されやすくなります。

もちろん、これだけが評価基準ではありませんが、他の評価が全く同じという前提だと、まとめ記事のある悪質サイトA、ない良質サイトBがあれば、サイトAがサイトBより上位表示されます。

しかし、あえてまとめ記事を書かないという選択をとる場合もあります。当社の場合は、薬はあくまで対処療法であって、根本的なあがり症の克服には至れないというスタンスです。このため、SEO的に不利と分かっていてもあがり症の薬のまとめ記事は書いていません。

また、サイトは誰でも見られるので、コピーが簡単に可能です。実際に当社のサイトのブログやお客様体験談までもコピーされています(アプリで確認できます)。

このため当社と似たようなことを言っているサービスがあるかもしれませんが、それは似て非なるものです。しかし、検索キーワードによっては当社よりそのサイトが上位表示されているかもしれません。

上位表示=あくまで検索アルゴリズムに評価されたもので、それが信頼に足るかどうかはまた別の話だということが分かってもらえましたでしょうか。

ネットリテラシーを身につけよう

確かに度重なるグーグルのアップデートにより表示されるサイトの改善がなされているのは事実です。しかし、暫くたつと、その抜け道を考える人たちが必ず出現するといった、いたちごっこが繰り返されています。

グーグルに頑張ってもらうだけでなく、閲覧側もインターネットリテラシーを身につける必要があると私は感じます。最低限の対策としては以下のとおりです。

  • 検索結果について、1ページ目だけでなく2ページ、3ページ目まで見るクセをつける
  • 他社の商品を宣伝しているなら、それはなぜなのか?そもそもそんなことが言える立場の人間なのか?を考える
  • 判断をインターネットだけにゆだねない、インターネット以外からも情報を取る

あがり症に関する情報だけでなく、すべての情報について鵜呑みにしないクセをつけましょう。

あがり症のための脳科学にもとづいたメンタルトレーニングの礎を築いたパイオニア。自身が極度のあがり症に苦しんでいた時期がある。ひどいあがり症の人ほど、スピーチ練習や場数、呼吸法などではなく、メンタルトレーニングが必要と伝えている。
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